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遺品整理の費用を減らす方法

お役立ち情報

古書店をやっていますと、お身内の逝去により、遺品を整理する必要がある方とご縁があります。

私共にとっては常に遭遇する風景ですが、一般の方にとっては人生で何度も無い事でしょう。

 

どこから手をつければ良いのかわからない。

何をしたら良いのだろう?

そのように考えられる方に向けた記事となります。

 

前提 遺品整理は自分でやれるのか?

 

できるかできないか、そう聞かれれば出来るとお答えします。

しかし、誰でも気軽にというわけではありません。

いくつか条件があります。

 

それは健康な成人男性2名の確保ができる事。(どちらか1人は普通免許も必要)

といいますのも、遺品整理では大きな家具等の重い物が必ず出てきます。

2階にある大きなタンスを一人で降ろせますか?

洗濯機や冷蔵庫を一人で運べますか?

無理ですよね。

 

また、一般的な女性では重量物の運搬は無理です。

男女平等の世の中で時代遅れと言われるかもしれませんが、体力には明確な男女差がありますので、あえて苦言として申し上げます。

 

目安としては30キロ入り米袋を持って階段をゆうゆう昇降できるくらいの体力が必要です。(ギリギリではダメです。余裕が必要です)

体力に自信が有る方なら可能かもしれませんが、女性には推奨しません。(労働基準法では、成人女性の扱える重量は継続で20kg、断続でも30kg以下と定められています)

遺品整理はお金をかければ業者に依頼する事が可能です。

関わった方がケガ無く終わるのでしたら問題ございませんが、何らかのケガをするくらいなら業者に依頼した方が良いです。

 

ポイント

  • 健康な男手2人の確保が必要(1人は普通免許も)
  • 片方が女性、あるいは女性2人の場合は相当な体力自慢が必要
  • お片付けが終わるまでが遠足です。皆さん元気でお家に帰りましょう。

 

お片付け費用を減らす方法

 

お金を払えば業者が全部やってくれるお片付け、遺品整理ですが、丸投げするとすごい費用がかかります。

最近の物価上昇、人件費高騰の影響を受けまして、100万円を超える片付け費用が必要になるケースも増えてきました。

そして、家の中にはお金や貴重品、売れる物が残っている事がほとんどです。

 

片付け業者は買取もすると謳っている事が多いですが、我々プロの古書店や道具屋の買取価格とは大きな開きが有ります(例えば我々プロが50万円で買う物を、片付け業者は数万円しか出しません)

 

 

ゴム付き軍手、ゴミを分別する袋、縛るヒモやハサミを用意してお片付け開始です。

ホコリが多い場合は防じんマスクも用意しましょう。

いずれもホームセンターで購入できます。

 

段階は7つ、最後に費用です。

  1. 貴重品を見つけよう
  2. 売れる物を売ろう
  3. ゴミの日に捨てられる物を捨てよう
  4. 家電リサイクル法対象品を捨てよう
  5. 鉄や小型家電を捨てよう
  6. 最終段階 家具や残りの物をクリーンセンターに持っていこう
  7. 番外編 お仏壇の片付け
  8. 最後に どのくらい費用と期間がかかるのか?

以下に詳しく説明します。

 

第一段階 貴重品を見つけよう

 

まずは貴重品を探しましょう。

預金通帳、権利書など各種書類

現金、貴金属、宝石などの貴重品

 

書類や貴重品はだいたいは一ヵ所に固まっていますが、ヘソクリなど有りますので気をつけて探してください。

日頃身につけていたアクセサリー、ネクタイピン・カフスなどに金やプラチナの物が混ざる場合があります。捨ててしまわないようにしましょう。

 

これらを見つける事がお片付けの第一歩です。

 

第二段階 売れる物を売ろう

 

売れそうなものが有る場合は売りましょう。

骨董品、美術品、お茶やお花の道具

ブランド品、時計、オーディオ、楽器、カメラなど趣味の物全般

未使用の贈答品、普段使いしていたハイブランド食器や置物、鉄瓶

仕事で使っていた道具、本、昭和のおもちゃなどなど。

古い物でも売れる物はたくさんあります。

 

「どうせ大したお金にならないのでしょう?」

そのように思われる方は半分正解です。

特にご趣味も無く、勉強が必要な仕事もしていなかった方の物はそのような傾向があります。

 

しかし、昨今亡くなられる方は、概ねバブル期を成人で通過してきた世代です。

景気の良い時代に得た収入を、ご趣味や仕事につぎ込んでいる方が多数いらっしゃいます。

一般の方が見てもわからないかもしれませんが、生前に何か打ち込んでいた事が有りましたら、注意して見てください。

 

何も見つからなければ第三段階まで飛ばしてください。

何か見つかった場合は読み進めてください。

 

探してみたら売れる物が見つかった。

そんな時は、ご自身で売れるなら、メルカリやヤフオクで売ってしまいましょう。

相当な手間と時間がかかりますが、一番手元にお金が残る方法ではあります。

 

手間と時間がとれない方は、買い取りをしている業者さんを呼んでください。

それでは何でも買う系リサイクルショップを呼びましょう!

・・・・と、思ってもお待ち下さい。

基本的に何でも買い取る業者さんは、知識が有りません。

といいますのも、古本屋、古美術商、道具屋など、その道のプロになる為には長い修業が必要です。

専門を持った上で、その周辺を扱う業者は居ますが、全てわかると言える業者は著者の知る限り一人も居ません。(著者は古本、リサイクルの仕事を10年以上やっています)

 

では何でも買い取るってどうやるのだろう?と考えれば自ずと答えは出ます。

要するに、安く買取するのです。(前述した片付け業者と同じような商売とお考えください)

 

鉄瓶を例にしましょうか。

名のある工房、名のある名人が作った鉄瓶は数十万円~数百万円で流通しています。

龍文堂、亀文堂で作られた物なら最低でも1万円から、高額な物は数十万円以上します。(偽物も多いです)

無名やそれに近い量産品の鉄瓶は数千円で流通しています。

この程度はリサイクルに関わる者なら誰でも知っています。

 

何でも買う系リサイクルショップが見た時、こう考えます。

「鉄瓶なら1000円で買っておけば損はしない」

そう考えて、お客様に適当な理由をつけて買取って持ち帰ります。

そして、見る目のあるプロが集まる業者市に持っていくのです。

 

我々のようなプロが集う業者市場に、何でも買う系のリサイクルショップがよく物を持ち込みます。

1万円で買った物(時にはタダで引き取った物)が100万円以上で売れた!そのように喜んでいる姿を時々見る事が有りますね。

我々プロはこう思います。「あの業者に売った依頼主さんは気の毒だな・・・」

 

コレクションしていた物、長年お仕事で使われた物でしたら、まずは専門業者を呼びましょう。

専門の業者が値段をつけられない物ばかりになった段階で、何でも買う系リサイクルショップを呼ぶのが賢い片付け方法です。

 

ポイント

  • 自分で売れるなら自分で売りましょう。
  • 買い取り業者を呼ぶ場合は、必ず専門の業者を先に呼びましょう
  • 何でも買う系リサイクルショップを呼ぶのは一番最後

第三段階 ゴミの日に捨てられる物を捨てよう

 

家庭ゴミを出せる日を必ずチェックしましょう。

普段何気なく使っていますが、袋に詰めて出すだけでゴミを持って行ってくれる素晴らしいサービスです。

片付け業者に依頼すると、軽トラックに軽く積んだだけで数万円取られます。

ご自身の都合に合わせての事とはなりますが、利用すれば遺品整理の費用を大きく減らす事が可能です。

 

新聞、雑誌、ダンボールなど紙類についてはゴミの日に無料で捨てられます。

服やタオルなどの布類も資源として回収している自治体は多いです。

また、スーパーの駐車場等にある無料回収BOXを利用するのもいいでしょう。

 

燃えるゴミやプラスチック容器包装などは、自治体指定のゴミ袋が必要になるかもしれません。

とは言え、高くても1枚数十円ですからしっかり利用しましょう。

不燃ごみなども、自治体指定の袋に入れれば回収してくれる場合がほとんどです。

 

 

ポイント

  • 自治体のルールに沿って分別しましょう
  • わからない場合は、HPを確認したり、電話をして聞きましょう

 

第四段階 家電リサイクル法対象品を捨てよう

 

テレビ(液晶・プラズマを含む)、エアコン、洗濯機・衣類乾燥機、冷蔵庫、冷凍庫などにつきましては、法律によりリサイクル費用がかかります。

比較的新しい物(製造5~10年以内)でしたらリサイクルショップが買い取りする場合もありますが、古いものは費用を払って処分するしかありません。

 

家電リサイクル法対象商品の処分費用

 

一番安く捨てる方法は自分で指定引取場所に運搬する事です。

営業時間を確認の上で「家電リサイクル券」と合わせて持ち込みましょう。

自分で運搬が難しい場合は、販売店か引取業者に依頼して、運搬料+家電リサイクル券の料金を払う必要があります。

 

第五段階 鉄や小型家電を捨てよう

 

捨てるのにお金がかかると思われがちな鉄製品や小型家電ですが、無料で処分を引受するスクラップ屋さんが有ります。

内部の金属など、リサイクルできるものをスクラップから取り出す業者さんですね。

ある程度の都市部でしたら近所に有りますので、ネット検索等で調べてみてください。

業者によって無理な物、費用が発生する物がありますので、持ち込む前に問い合わせをしましょう。

 

最終段階 家具や残りの物をクリーンセンターに持っていこう

 

貴重品を確保した。

趣味や仕事で使った物で値段のつく物を売った。

ゴミの日に出せる物を全て出した。

家電リサイクルもやった。

スクラップ業者が引き取れる物を全て持ち込んだ。

ここまでやれば、後に残るのは家具と雑多な物のみです。

 

タンスや布団などを運び出し、地域のクリーンセンターに持ち込みましょう。

どこの自治体でも重量で処分費用が決まりますが、それほど高額ではありません。(100キロで無料~2000円程度まで)

トラックをレンタルする必要が有るかもしれません。普通免許を持っている人が手配をしてください。

 

クレーン等で吊るして搬入したような家具の場合は最後の手段。お部屋で解体しましょう。

バキバキっと壊して、パーツごとに運び出します。

床や壁が傷つかないように、不要な布団や毛布等で保護しましょう。

もったいないと感じるかもしれませんが、家を傷つけるよりはマシです。

 

少量でしたら有料の臨時・粗大ごみ収集を利用するのも手です。

粗大ごみシールを貼って玄関先に置いておけば、予約した日に回収してくれます。

 

ポイント

  • 大物の運び出しが有る場合は男手を2名用意する
  • 動かせない家具は解体するか壊して出す(ドライバー、レンチ、ハンマー、バールなどが必要)
  • 少量の場合は粗大ごみシールを貼って玄関に出す(予約した日に回収してくれます)

 

番外編 お仏壇の片付け

 

古いお宅によくあるお仏壇。

先祖代々の物でしたら引き継ぐ事も選択肢ですが、自分の家には置くスペースがないという方もいらっしゃると思います。

この場合は宗派を確認の上で地域のお寺に仏壇供養をお願いする方法が一般的です。

どうしても安く片付けたいという事でしたら、バラバラに解体して粗大ごみの日に出す事もできます。

様々なご事情、宗教観などあると思いますので、ご自身に合った方法を選んでください。

 

お仏壇の片付けで気をつける点は2つ。

 

まず1つは、仏具を金(ゴールド)で作られる方がいらっしゃいます。

かなり重く質感も有りますので、見逃す事は無いと思いますが、捨てないようにしましょう。

 

もう1つは香木です。

伽羅、沈香、白檀などのお香や仏具は、大変価値がある物です。

基本的に箱に入っていたり、銘や販売店の記載がある紙に包まれていたりします。

いい香りのする木がありましたら、絶対に捨てないでください。

 

最後に どのくらい費用と期間がかかるのか?

 

自分で片付ける費用については、業者に依頼する場合の10%~20%で出来ます。

一般的な生活をしていたお宅を空っぽにする費用は50~100万円ほどです。(物量、運び出し経路の難度により変わります)

自分でやれば5~20万円ほどで片付くでしょう。(レンタカー、家電リサイクル費用、交通費、飲み物や食事代など)

 

自分でやる片付けは人件費を無料として計算しています。

ご自身の時給を計算する場合は、お仕事によってかなり変わってきます。

 

かかる期間は、作業できる時間と体力次第です。

体力自慢の方が毎日やれるなら、1ヶ月くらいで片付きます。

一般的なお仕事をしながら、週末に少しずつやる場合は、最低でも3ヶ月~半年程度は見たほうが良いでしょう。

 

物量が多い(床が見えないほど散らかっている)場合や、広いお宅でしたら1年以上かかるケースもあります。

 

 

結論 遺品整理は自分でやれるのか?

 

やれるか、やれないかなら「やれる」です。

ただし不慣れな一般の方がやる場合はかなりの期間がかかります。

借家でしたら業者に頼んだ方がいいです(片付け期間中の家賃がかかるので)

特に急ぐ必要の無い持ち家で、体力と時間に余裕がある方でしたら、自分でやるという選択肢もアリです。

 

そして、大切な家族が残した遺品を自分の手で整理したいという思いは何よりも大事です。

ご家族とよく話し合って決めてください。

何かのお役に立てましたら幸いです。

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